中部地方が夢見たもうひとつの未来。未完の都市計画や実現しなかった巨大構想の数々。
日本列島を横断する大運河。名古屋遷都論。名古屋オリンピック構想。浜松市、岐阜市での再開発事業。福井市、四日市市のユニークな都市構想など、未完の都市計画や、実現しなかった構想の数々を一挙紹介。
日本都市計画学会が、中部支部の創立15周年を記念して、将来に残すべき計画、構想として調査、検証した成果を1冊にまとめた。
アプローチは学術風で少し硬い内容だが、まちづくりや都市計画に関わる人たちにも必携の書。
滑走路が1本になってしまった中部国際空港、オオタカの巣に追われて規模縮小の憂き目を見た愛知万博、ソウルに破れて実現しなかった名古屋オリンピック、名古屋遷都論など、地元ではタブー視されていたような計画も敢えて取り上げている。
そのままにしておけば埋もれてしまう先人の知恵と努力を、セントレアの開港や万博への高評価で、「東海地方が日本一元気で成功している」と言われる今だからこそふり返ることが出来る、失敗から学ぶことのできる貴重な成果。
〈編集〉
(社)日本都市計画学会中部支部
判 型 B5判
頁 数 209頁
発売日 2006年3月31日
本体価格 2500円+税
ISBN 4-902731-04-5
『幻の都市計画―残しておきたい構想案』の主な内容
カラー口絵 残しておきたい構想案〔設計図やイメージ図、模型モデルなど貴重な資料〕
・名古屋グリーンベルト構想(1955)
・中部圏開発整備のベースとなった構想(1968)
・広域開催方式を提案したオリンピック構想(1979)
・都心の歩行者優先道路提案(1973・名古屋市)
・文化軸、都市軸により城下町を保存再(1986・西尾市)
・音楽文化都市・浜松の音楽公園(1987)
・フリー・トレード・ゾーン、メッセ、テーマパークなどで構成される物流拠点(1992)
・臨空海上都市(1993)
・緑のシンボル軸を中心とした万博「地球市民交流の杜」(1994)
・「コンパクトシティ 名古屋」の提案
■巻頭言 幻の都市計画とまちづくりの夢
■実現されない計画の意義(竹内伝史)
■戦後の時代変遷と求められたビジョン(瀬口哲夫)
■座談会「未完の計画に託された思想を語る」(加藤晃・紺野昭・瀬口哲夫)
Ⅰ 中部圏の新しい姿を描いた「グランドプラン」
・ワイズマン・レポート 1964 (吉村輝彦)
・名古屋市将来計画・基本計画 1968 (林 清隆)
・栄東地区町づくり運動とその構想計画 1962~75 (佐藤圭二)
・小牧・春日井地区開発基本計画 1963 (磯部友彦)
・豊橋・浜松二眼レフ構想 1965 (戸田敏行)
・東三河地域総合開発提案 1961~67 (戸田敏行)
・中南勢地域開発構想 1963 (浦山益郎)
・加越能鉄道富山高岡線 1952~59 (天野智順)
・四日市公害対策マスタープラン 1966 (波多野憲男)
コラム 全国総合開発計画と中部圏のあゆみ(和泉 潤)
コラム 名古屋グリーンベルト構想の夢 1955 (瀬口哲夫)
Ⅱ 高度成長期の市街地再開発提案
・名古屋駅西地区市街地再開発事業基本計画 1974 (藤森幹人)
・浜松千歳地区再開発構想 1970 (大澤 稔)
・歩行者中心の緑の通りへ 1974 (瀬口哲夫)
コラム 中部圏三大ニュータウン(鶴田佳子)
Ⅲ 大規模事業の礎となった提案・構想
・「1965 (浅野 聡・松浦健治郎)
・国際貨物空港構想 1969~70 (永柳 宏)
コラム 名古屋「オリンピック構想」 1979 (福島 茂)
コラム 中部国際空港計画に関する雑感 1993 (三輪哲夫)
Ⅳ 地方定住時代の「人間性回復のための」都市提案
・県庁建替え問題から「福井都市づくり論」へ 1975 (桜井康宏)
・大須商店街への提案 1978・1981・1992 (瀬口哲夫)
コラム ノリタケドーム 1979 (伊豆原浩二)
・日戦災城下町のまちづくり構想 1986 (瀬口哲夫)
コラム 東三河地域モデル定住圏 1980 (永柳 宏)
Ⅴ 21世紀に向けての大規模プロジェクト
・名古屋の都市的な特徴を際立たせた、名古屋遷都論 1987 (瀬口哲夫)
・瀬戸市南東部地域新住宅市街地整備事業1998 (谷口庄一・永柳 宏)
Ⅵ コンパクトシティの実現に向けた都市提案
・白鳥計画 1989 (松山 明)
・岐阜駅西地区再開発事業 1988 (秋山孝正・田中尚人)
・静岡県音楽公園計画1987 (谷 武)
コラム 都市計画・開発コンペにみる提案の力 1999